過眠の発作をオープンにしながら仕事をするということ
絶対に間違えられない仕事を頼まれていた
絶対に間違えられない顧客への封書の点検をしていた。
隣の席には仕事を任せてくれている事務長の方が座っていて、目を光らせている。
過眠の発作がくる
そんな重要な仕事中に突発性過眠の発作が襲ってきた。これはたまらない。
目薬を指してマッサージして、なんとか視力を取り戻そうと指でグリグリする。
すると事務長が「そんなに眠いの?無理だったらやめておく?」
と訊いてきた。それにたいして
「過眠の発作です。大丈夫です。やります」
と答える。
「過眠?何それ?」
「不眠の逆のコトバです。眠くなるということ」
「そうなんだ。横になったらすぐに眠れるとか?」
「いますぐ、座ったまま眠れますよ」
「いいね。私は深く眠れないから羨ましい」
いわゆる早期覚醒を持っているようだ。睡眠障害はよく聞く話だ。
何気ない会話だが、オープンに話せて気が楽だ
話は続く。
「そんなのでクスリもらうのも抵抗ありますしね。僕のもらっている睡眠薬なんて、アメリカでは法律で禁止されていますよ」
「睡眠薬までもらっているの?」
「基本的に睡眠障害なので、念のためです」
「なんてクスリ?」
「ロキ…ロヒプノールです」(ロキソニンと間違えそうになった)
「ふーん」
と、何気なく話していたが、いわゆる「ドン引き」状態でもないので、こちらとしては聞いていただいて気が楽になった。日常的に話せないコトバだからスッキリする。
ミスが発覚
その後、封書の字の間違いが出てきた。やっぱり過眠の発作中はどうあがいてもミスが出る。イージーなミスだ。頼まれた仕事をキチンとこなせなくて、申し訳がない。
ムードは穏やかなものだった
やはり過眠の発作中は無理のようだ。
ただ、そのあたり事務長も分かってきているようで、特に空気が乱れることはなく、呑気なものだった。