めずらしいクスリ
今日は休みだ。たまたま彼女と休みが合ったので遊ぶことになった。
とはいえ、特に遊ぶこともなく、僕は医者にベタナミン増量のお願いをしたかったから、連れていくことになった。
久しぶりに、普通の外来で診断を受ける。
うちの病院は予約しておかないとかなり混む。午前中は予約なしの外来の時間だった。その時間にいった。
わざわざクスリの処方を変えてもらうだけなのに予約をとるほどでもないと感じたからだ。最初にいったときは駐車場が満タンで停められなかった。
20分ほど暇をつぶしてもう一度向かった。すこし駐車場に空きがあった。すかさず駐車をする。
待ち時間は短かった。5分くらいで呼ばれた。
単刀直入に「効果はあるが効きめが弱いので、よろしければ増やしていただけませんか?」という。さらに「”ものすごい眠い”のが”すごい眠い”になるくらいです」と付け加える。
「うまいこといったな」と医師。
「めったに出さないクスリなんだよ」と処方にすこし迷いがあるようだった。
本を2冊ならべて薬効や作用を調べている。
抗うつ薬にしても、急激に効くクスリは少ない。飲んだその日に効果があったりするクスリはめずらしい。
ベタナミン(ペモリン)のように効くクスリは便利だけれど、扱いづらいところがあるのだろう(ウィキペディアには薬効が出るまで2〜3週間と書かれているけれど、間違いである)
実際、医師が見ている本には「抗うつ薬として、またはナルコレプシーの治療として」と書かれている。
それを説明されて、僕は「まさに自分にピッタリだと思います」といい切った。ナルコレプシーはよくわからない。
けれど、瞬間的に眠るくらいに眠い。7時間眠っているにもかかわらずだ。とにかくひどい眠気なのである。病的過眠症・睡眠発作といっていい。
すなわちナルコレプシーだ。
眠気で通勤時のクルマの運転が困難なこともあった。下手をしたら事故る。
とにかく眠い。
いままで、僕はどうやってこの仕事のモチベーションを保っていたのか不思議になるくらい、いつも眠くてやる気が削がれる日が続いていたので、なんとかしたかった。
医師は考えた後、増量を決定した。僕はついているようだ。
しかし、この病院に通い続けて12年。まだ治療を手探りでおこなっている。
医者との信頼関係も今回の増量にいたるキッカケになったのではないだろうか。
処方箋を受け取るときに担当者から「薬局には置いてないと思うので取り寄せになると思います」といわれた「そんなに用いられないクスリなのか」という印象を受けた。
薬局の担当者はすっかり顔なじみである。若い青年の薬剤師だ。
冗談くさく「めずらしいクスリが出されてね」と話しかけて処方箋を渡した。やっぱり、取り寄せになるらしい。
「効きませんか」といってきたので「少ししか効かなくてね」とこたえた。
僕としては増量が決まったので、上機嫌だったのだけれど、薬剤師は仕事柄「心配」という心境になるらしい。
僕は上機嫌。あちらは「僕のことが心配」というへんな空気になった。
それはそうだ「増量が決まってよかったですね」とは軽々しくいえない。このあたり、さすがに「賢いな」と思った。学のある人柄という印象を受けた。
取り寄せは明日になるらしい。仕事終わりに寄ることになった。
無事に増量が決まったので明日からは2錠飲める。半減期が12時間と長いので朝食後に飲む。
今日は夜更かしする予定もない。7時間しっかりと眠り、明日の「眠気がない1日」を楽しみたい。僕の計算なら眠気は吹き飛ぶはずだ。